※西野亮廣作「えんとつ町のプペル」の二次創作です。
渋谷のスクランブル交差点に、ある夜、黒い影が落ちてきた。
ゴミ袋がはじけ、煙の匂いをまとった人間が立ち上がる。プペルだった。
人々はスマホを向け、笑い、動画を撮り、すぐに興味を失った。
「バズらないな」
誰かが言い、群衆は流れていった。
そのとき、歩道橋の下でスケッチブックを抱えた少年が、プペルを見上げた。
名は悠人。学校では「夢語り」とからかわれている。
「ねえ、空って、ほんとは青いんだよね」
少年が言うと、プペルは頷いた。
二人は夜の渋谷を歩いた。ネオンは星を隠し、広告は夢を値札で測る。
それでも悠人は言った。
「見えないだけで、あるって信じたい」
明け方、始発前の屋上で、雲の切れ間から一つだけ星が瞬いた。
プペルの体は、少しずつ光に溶けていく。
「信じたね」
それが最後の言葉だった。
朝、渋谷はいつも通りだった。
ただ一人、悠人だけが、空を見上げて歩いていた。