《匿名→実名変換》

400字小説 公開:2025-12-14 作者:一本吉夫

X社の巨大SNSがサーバー攻撃を受けた。

被害はただひとつ――全ユーザーの匿名投稿が、実名表示に書き換わったのだ。

朝、アプリを開いた瞬間、世界は凍りついた。

死ねだのアホだのクソだのと言ったあらゆる誹謗中傷の投稿も、その投稿者の実名がしっかり表示されてしまったのだ。

世界中は大騒ぎとなった。

中傷誹謗を書き散らしていたのが、隣の席の同僚だったり、娘の担任教師だったり、中には「親友」と信じていた相手だったというケースもあった。

世界中で不信と分断、諍いや喧嘩が勃発した。

しかし、ふと誰かがつぶやいた。


「(今、あなたの心に浮かんだ一言をここに入れて下さい)」


数日後、SNSは復旧し、再び匿名表示に戻った。

世界は、少しだけ静かになった。